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診療科のご紹介

呼吸器外科

PDT,光線力学的治療

Q1. PDTとは?
Q2. PDTに使用するレーザーについて詳しく教えてください
Q3. 腫瘍親和性光感受性物質とはなんですか?
Q4. 保険が利くのでしょうか?
Q5. なぜ肺がんにPDTがよいのですか?
Q6. どんな肺がんも治るのですか?
Q7. どのくらいの確率で治るのでしょうか?
Q8. どうしたら早期肺がんが見つかりますか?
Q9. 早期肺がん以外にも適応はありますか(進行がんはだめでしょうか)?
Q10.PDTの具体的な方法を教えてください
Q11.副作用や合併症の危険はありますか?
Q12.肺がんに対するPDTの今後の展望について教えてください。

『PDT,光線力学的治療』を我が国の民間病院で初めて実施(H21.2)

TBS『News23』
(H21.12.9放送)
TBS『総力報道!THE NEWS』
(H21.11.27放送)


東スポ『名医の診察室』に掲載されました(H26.10)

 [←画像をクリックすると拡大します] 


International Journal of Molecular Sciences に掲載されました


 

 

Q1:PDTとは?

Photodynamic Therapyの頭文字をとってPDTと称されています。 邦訳は光線力学的療法といってレーザー治療法の一つ です。一般にレーザー治療と言うと高出力のレーザーを使って病巣を焼き切るイメージがあると思いますが、PDTで使用するレーザーは出力の弱いレーザーで、病巣を焼くどころかレーザーに手をかざしてもほとんど熱さを感じません。
 

PDTに必要なものはレーザーと光をあてると化学反応を起こす光感受性物質です。 ある種の光感受性物質(ひかりかんじゅせいぶっしつ)は正常な部位よりも、がんにたくさん集まる性質があるので、レーザーをあてると正常組織にはダメージを与えず、がんだけを選択して治療することができるのです。

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Q2:PDTに使用するレーザーについて詳しく教えてください。
レーザーと言うとレーザーメスが有名です。熱で組織を焼く(切る)のですが、40W(40,000mW)という高出力であるのが特徴です。
これに対しPDTに使用するレーザーですが、出力はこれと比較して200分の1の200mW前後の弱い光です。PDTでは光の出力ではなく、波長(色あい)が重要であるのです。日本では永くエキシマダイレーザーが使用されてきましたが、近年小型のダイオードレーザーが開発されています。
 
PDTに使用するレーザー

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Q3:腫瘍親和性光感受性物質とはなんですか?

光をあてると化学変化をおこす感光物質と考えてください。以前、新幹線の車体に使われていた青色の塗料も光感受性物質(ひかりかんじゅせいぶっしつ)です。非常にたくさんの光感受性物質がありますが、この中から体に害がなく、さらにがんに選択的に多く集まる物質がPDTに使用されるのです。

 

現在日本では『フォトフリン』『レザフィリン』という2つの腫瘍親和性光感受性物質ががん治療用として厚生労働省の認可を受け保険適用を受けています。
これらの光感受性物質はレーザー光をあてると活性化し、落ちついた状態に戻る際に活性酸素を出すと言われています。これががんを殺すのです。
腫瘍親和性光感受性物質はがんに多く集まり、正常組織に集まりにくいので、レーザーをがんを含めた大きな部位に照射しても、がんの部位だけが治療され、正常組織はほとんどダメージを受けないのです。
 


腫瘍親和性光感受性物質
レザフィリン

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Q4:保険が利くのでしょうか?
1994年以降、早期の肺がん、胃がん、食道がん、子宮頚がんに対し保険で治療がきるようになっています。がんではありませんが近年、加齢性黄斑変性症という眼科疾患にも保険適用を受けています。

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Q5:なぜ肺がんにPDTがよいのですか?
肺がんによる死亡者数の増加は顕著で、日本においても1993年に男性のがん死の1位に、1998年からは男女合わせてのがん死因の1位となりました。
肺がんは特に高齢者に多く発生し、また人によって、がんの特徴が異なるので、ひとりひとり個別の治療、いわゆるオーダーメイドの治療が最も望まれる疾患なのです。
高齢者で喫煙者の患者さんは肺そのものがダメージを受けており、手術で肺を切除すると通常の生活が制限されたり、肺炎等の合併症で致命的になる可能性もあります。
これがPDTですとがんだけを治療し、正常の部位はほとんどダメージを受けないので、治療後に肺機能が保たれるのです。

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Q6:どんな肺がんも治るのですか?
肺がんの特徴のひとつとして、発生部位によって腫瘍の性格が異なることがあげられます。すなわち、肺がんは太い気管支にできる中心型肺がんと肺野に影が写る末梢型肺がんに大別され、進展形式が異なるため治療法にも違いが生じるのです。
中心型肺がん(太い気管支に発生する肺がん)は気管支鏡で病巣を見ることができるので、気管支鏡を使った治療でいろいろな工夫ができます。
肺がんでPDTが適応となるのは太い気管支にできた早期肺がんです。大きさは1cm以下が望ましいとされています。
 

肺と気管支の構造図:
オレンジで示してあるのが気管支鏡で観察できる部位。
ここにがんができた場合にPDTができる。

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Q7:どのくらいの確率で治るのでしょうか?
現在までに203例264病巣の早期がんに対する治療成績では、完全治癒が224病巣84.8%に達しました。完全治癒が得られなかった症例には、2回目のPDT、放射線療法、手術療法などが追加施行され、最終的には100%の方が完全治癒されています。合併症で亡くなった方は一人もいません。本院でも2009年2月に最初に早期肺がんのPDTが行われましたが、現在完全に治癒しています。

 

PDT前
白色(通常の)気管支鏡自家蛍光気管支鏡
右の上の肺の一部にポリープ状の腫瘍ができています。


PDT1年後
白色(通常の)気管支鏡自家蛍光気管支鏡
腫瘍は跡形も残っていません。

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Q8:どうしたら早期肺がんが見つかりますか?
PDTの適応となる太い気管支にできる肺がんは胸部X線写真はおろか、胸部CTでも写真に写らないのです。
おもに咳や血痰が初発症状のことが多いので、長引く咳や血痰の症状のある方は呼吸器専門医を受診してください。
この時大事なのが喀痰細胞診です。痰を専用の容器にとって顕微鏡でがん細胞があるかどうかを検査するのです。がん細胞が存在したり、偽陽性(あやしい細胞がある)の場合は気管支鏡という直径5mm以下の細いカメラ付の管で気管支の中を観察して、異常部位(がんの部位)を探し出すのです。

日本における年間9万人(推定)の肺がん新患者さんのうち、およそ30%が中心型肺がんであるとすれば、2万7千人の患者さんがPDTで治療できることになります。
しかし実際のところPDTの恩恵を受けている肺がん患者さんは、年間100人程度と推察されます。胸部X線写真やCTに写らないので、早期に発見する事が難しいのです。
喀痰細胞診やヘビースモーカーの患者さんに対する内視鏡検査の徹底による早期発見がPDT治療が受けられる重要な決め手となります。
 

痰の中に発見されたがん細胞

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Q9:早期肺がん以外にも適応はありますか(進行がんはだめでしょうか)?

進行がんでも保険適用になります。次のような方が適応となります。
 

(1)気道の閉塞を認める進行気管支がんに対する姑息的治療
進行がんで太い気管が閉塞し呼吸困難な場合にPDTで腫瘍を小さくして呼吸を楽にする。
 

(2)手術前にPDTを行うことによって、切除範囲の縮小を可能にする
がんが広範囲に広がっている場合、いきなり手術をすると多くの肺を切除しないといけません が、PDTで腫瘍を小さくしてから手術を行うことで、切除する肺の容積を小さくできる。

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Q10:PDTの具体的な方法を教えてください。

PDTにはまず、腫瘍親和性光感受性物質(しゅようしんわせいひかりかんじゅせいぶっしつ)という薬の静脈注射が必要です。
日本では『フォトフリン』と『レザフィリン』という2つの薬が認可されています。 どちらの薬も腫瘍組織には正常組織のおよそ4倍取り込まれます。
しかし現在ではレザフィリンが使われています。、レザフィリンは投与の約4時間後にレーザー照射を行います。正常組織はがん組織と比べて早い時間に薬が排泄されるので、この時間差を利用して腫瘍を選択的に治療できるのです。
 

患者さんはまず、のどにキシロカインスプレーを使った局所麻酔を受け、気管支鏡という直径5mm程度の細い内視鏡が気管支に挿入されます。この気管支鏡を介して赤色レーザー光線をがんの部位に照射します。
レーザーの出力は約100~200mWですが、これはほとんど熱さを感じないエネルギー量で、直接レーザーを目に当てない限り障害を及ぼすことは無くレーザーは焼いて直すというイメージではありません。
がんの大きさにもよりますが、治療時間は平均でおよそ30分程度です。

 

1.腫瘍親和性光感性物質を
静脈内注射する。
2.気管支鏡を使ってレーザーを
病巣部に照射する。

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Q11:副作用や合併症の危険はありますか?
腫瘍親和性光感受性物質(しゅようしんわせいひかりかんじゅせいぶっしつ)は肝や消化管より排出され、毒性はありませんが、唯一の合併症として日光過敏症(日焼けしやすい)があります。
投与後10日間は直射日光を避け、必要に応じて日焼け止めクリームの塗布等をお勧めしています。
但し暗室等に滞在する必要はなく、室内での通常の暮らしには全く支障はありません。

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Q12:肺がんに対するPDTの今後の展望について教えてください。
PDTは既に全世界で5,000以上の症例に対し臨床応用されていますが、肺がん症例が最も多く、低肺機能患者の早期中心型肺がん治療の第一選択になりつつあります。
今後はPDTと放射線療法や、化学療法との合併療法や、手術療法とのコンビネーションなどが検討されるとおもわれます。
適応の拡大を図るために、唯一の合併症である日焼けの少ない新しい光感受性物質(ひかりかんじゅせいぶっしつ)の開発も進み、日本では世界に先駆けて、レザフィリンという薬剤が厚生労働省の認可を受けることができました。
使用されるレーザーもダイオードレーザーを用いることで、大きさもビデオデッキ程度まで小型化されました。

PDTは、治療後の肺機能の低下が全くなく、侵襲の少ない治療法として徐々に広まりつつあります。内視鏡を用いたレーザー治療の中でもPDTは、腫瘍を焼くのではなく、腫瘍だけを選択的に壊死させることができるので、安全性が最も高く、また他の治療法(たとえば手術や抗がん剤)との組み合わせも容易で応用範囲が広いため、最も期待されている治療法と言えるでしょう。

 

もちろん、全ての肺がんがPDTで治るわけではありません。不幸にも肺がんと診断されたならば、PDTの適応があるかどうかを、まず担当の医師あるいは専門医のいる施設でご相談をお受けになる事をお勧めします。

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