薫風 VOL.2 いびき・睡眠時呼吸障害外来
| 睡眠時無呼吸症候群(SAS) | ![]() SAS担当 立野政雄 |
医学的に無呼吸というのは、10秒以上呼吸が止まっていることを言います。
無呼吸症には、喉付近の構造的欠陥が深く関わっています。もともと空気の通路である気道の狭い人や肥満で喉に脂肪がついている人、扁桃腺やリンパ腺が腫れている人は無呼吸症になりやすいと言われています。
無呼吸症の兆候は、いびき、日中の眠気や疲れやだるさ、多汗、寝起きの際の頭痛、口が渇くなどに表れる。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に無呼吸が、一晩に30回以上生ずる病気です。この程度なら、あまり問題ではなく、無呼吸が1時間に20回以上ある場合にCPAP(在宅持続的陽圧呼吸療法)の治療を積極的に行うようにしています。(保険適用)
欧米の報告によると、中高年の男性の4%、女性の2%にSASを認めたとのこと。日本でも、中高年の男性の3%、女性の2%弱にSASが認められたと報告されています。
さて、この病気の重症度を調べるには、AHI(無呼吸/低呼吸指数=睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数)を用います。AHIが30~45の方、すなわち重症のSASの方は、身近にいらっしゃいますが、“重症”といっても他の病気とは違い、SASの場合は治療すれば確実に良くなる、というところが一番良いところだと思います。最も重症の部類の患者さんは、米国の報告によると、脳梗塞、心筋梗塞、高血圧などを合併する頻度が極めて高く、余命10年位とも言われています。このような方は、日中の眠気がひどい為、交通事故や労災事故などを引き起こす危険性もあり、自分だけでなく、他人にとっても非常に危険であると言えます。
SASが疑われる症状としては、激しいイビキと無呼吸、中高年の肥満、昼間の眠気、集中力低下、インポテンワなどがあります。この他に睡眠時の頻回の覚醒、夜間頻尿、“うつ”などがあります。(※重症度は表の通り)
次に検査、治療についてお話します。当院でも昨年10月からSAS外来を開設しましたが、『無呼吸症だと思うので調べて下さい』という方も増えていますが、大部分の方は、奥様の指摘によって来院されます。先ず問診、事前のスクリーニング検査(心電図、胸部レントゲン検査、生化学、末血、尿の検査、感染症と入院時にMRI(咽喉頭部)検査)を行います。現在の病気について、又、治療についてお話をお聞きします。次に睡眠ポリグラフ検査について説明をします、この検査は、午後4時過ぎに入院して頂き、翌日午前6時過ぎに退院となります。仕事に支障がない様に配慮致します。この検査で、睡眠の深さ(Non-REM睡眠:stageⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、REM睡眠:夢との関連あり)、脳波、動脈血酸素飽和度、心電図、筋電図、胸腹部動きの検知、睡眠時体位、イビキ、AHIなどを調べます。この検査で胸と腹の動きを調べることで、閉塞性の無呼吸か、中枢性の無呼吸かがわかります。又、健常人の睡眠を見ると、浅い睡眠(stageⅠ、Ⅱ)と深い睡眠(stageⅢ、Ⅳ)を周期的に繰り返して、良い睡眠がとれるのですが、SASの方の睡眠では、深い睡眠まで行かず、浅い睡眠の繰り返しで?深い睡眠はほとんどなく、朝を向えます。従って日中眠くなるのです。このような方にCPAPの治療を始めたその日から、健常人同様の睡眠がとれるようになるのです。閉塞性のSASには、鼻のCPAPと手術やマウスピースなど、その他の治療法がありますが、CPAPは手軽で苦痛なく行えることから、最初の治療手段として位置づけていますし、CPAPだけが唯一、無呼吸を完全に無くすことが出来る有用な治療法だと言えます。n-CPAPの原理は、鼻にマスクを装着し、気道が開くまで圧を上げるだけという極めて簡単なものです。
CPAPの副作用としては、まず●特に冬季の口鼻の乾燥や鼻閉が挙げられますが、室温を一定に保つことや、市販の加湿器を使うことで十分対処できます。●マスクからの空気漏れも、マスクが格段に良くなり、十分対応できています。●マスク装着による皮膚炎もステロイド軟膏処置で対応できます。又、鼻閉には、点鼻薬にて対応しています。
終わりに、SASは一晩に数10回も呼吸が止まってしまう為、動脈血中の酸素濃度が異常に低下し、その為、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを発症させる危険性があります。SASの疑いのある方は、睡眠ポリグラフ検査を受けて、診断を確定し、早期発見・早期治療が必要であります。
CPAP療法で良い睡眠をとり、QOLの向上に役立つことを期待致します。
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